調査が滞ることもある。
女と会うと思ったら、男だけでキャバクラ巡りをして呑んでるだけ…なんて日もあった。
仕方ないのはわかってるけど、それでもお金をかけて調査したわけだし凹む。
朝から晩まで働いて、子ども達のことも色々やって、クタクタになりながら憎悪と戦って稼いできたのに、空振り。
旦那の動き次第なのだから探偵さん側に非は無い。それでもこれを失敗として、調査料金を払いたくないと言い出す人もいるという。あるいは安くならないか?と。
調査したことは事実だし、経費も同じだけかかっているのだから勝手な言い分だと思う。そんなお客さんもいるんだ…なんて思ってたけど、いざ自分が空振ると、少しだけそう言いたくなる気持ちもわかった。
泣きそうな気持ちを我慢してるのがバレたのか、リーフさんが深呼吸するように息を吸ってから言った。
「気分転換しましょう。」と。
どこに行きたいか聞かれる。
夜だったし、どこもないと思ったけど、ふと思う。お酒呑みながら夜景が見たいなぁー。だけど車で結構走らなきゃだし、さすがに言い出せない。
それを悟ったのか「どこでも良いですよ。言うのはタダだし、無理なら無理って言うから。」と優しい追撃。
正直に言ってみた。
時間大丈夫ですか?お子さんは平気?と聞かれたから頷くと、さっぱりと「じゃあ行きましょう!」とリーフさんが立ち上がって準備を始める。
え?本当に?今8時過ぎだよ?嬉しい反面、ちょっと戸惑った。でも息抜きしてなかったから、次第にウキウキとした気分になっていく。
申し訳ないような楽しみなような複雑な気持ちだけど、せっかくなので楽しもうと思った。